あっという間に日も暮れて、帰る頃には外は真っ暗になっていた。


「寒いねー」


はあ、と息を吐きながら手を擦り合わせる。 白い吐息を見て余計に寒くなった気がして身を震わせた。


「晋助寒くないの?」
「別に」
「コートも着てないしマフラーも着けてないなんて。よくそんな格好でいられるね」


今は真冬のはずなのに、確か今日の夜から雪が降るとか天気予報で言っていたはずなのに、それくらい寒いのに、晋助はいつもと変わらない学ランだけの姿だ。


「お前が寒いのは足をおもいっきり出しているからだろうが」
「これは女子高生の義務なの」
「くだらねェ」


ふん、と晋助は鼻で笑った。晋助の鼻も少し赤い気がするし、白い肌もいつも以上に白くなってる気がする。ああ、ますます寒くなってきた。


「晋助だって彼女のスカートが膝下だったらやでしょう?」
「脱がせれば変わりないから問題あるめェ」
「出たエロ杉」
「なんとでも言え」


もう一度、鼻で笑った晋助は背後から車が来たのに気付いたからか、私を道路の端の方へと押しやった。それまでよりも狭くなったの晋助との距離を晋助の腕に私の腕を絡め更に縮める。


「晋助寒いよー」
「俺は寒くねぇ」
「見てるこっちが寒いの」


晋助は眼帯の着いてないほうの目で理不尽な文句を言う私をチラリと見ると溜息をついた。絡めていた腕を解いて私の手を握り、学ランのポケットのなかに突っ込む。


「これで少しは寒くねーだろ」


平然と前を見て歩く晋助はポケットの中でしっかりと指と指を絡めるように握りなおして、その力をきゅっと強くした。


それだけなのに、私の身体は急にぽかぽかと暖かくなってきた。


「うん。寒くない。ありがとう晋助!」
「単純なやつだな」


握ってくれた晋助の手から暖かいものが体中に流れてくる気がする。


「やっぱ私晋助のこと大好きだ」
「知ってる」



晋助が少し笑った気がして、それさえも暖かくみえた。






warm warm warm!